夕方から友人の買い物のお供をした、友人の又甥が小学校入学でそのお祝いを探すか買うかするという、何にすれば良いのか迷うなら金にしろと言えばそれでは味気ないしそのまま手渡されるわけではないから嫌だと言う、他の身内からの品と重複しないようなものとは何だろうと本人はいろいろと考えていた。
私は買い物のお供が目的というよりは、その後にスタバででもゆっくりできればと思っていたし、実際30分ほどのんびりとできたのでよかった、肝心のお祝いの品は子供用のポーチだ、革製で洒落ていた、小学校低学年には少し早そうな感じなので高学年にかけて長く使って貰えるのではという判断でそれを買っていた、子供用だけれど価格は大人レベルで驚いた。
私は地下鉄で帰るのだが、駅までの途中に友人が車を停めている駐車場があるので一緒に歩いていると友人が「あー、またあいつがいる」と言う、場所は天神地下街、人が多くて誰のことかわからない・・・ということはなく一瞬で見つけた、ああ、あいつか、パンク魔だな(2012年3月10日のブログ)。
私もその人のことは好きではないが、友人は別の理由で激しく嫌っている。
今日のその人はゲレーの迷彩柄のボトムス、オレンジとターコイズのトップス、ブルーのロゴ入りキャップ、相変わらず派手な色使いなのでよく目立っていて、関取が歩くように大股で腕を大振りにし闊歩していた、その人は私たちに嫌われているのをよく知っていて、こうやって街の中でふいに出くわすとどんな時でも顔を手で隠しながら脇道に逸れたりUターンで逃げてしまうのだ。
今日はどうだろうかと思ったその時、こちらに気付いてやはり鼻のあたりから下を腕で隠しながら小走りでイムズ側へと逃げて行った、ほら、そんな行動を「あの人なに?」と言わんばかりに女性が訝しげな目で追っているではないか、情けない、気まずくてもそのまま知らぬ顔で通り過ぎて避ける程度にしてしまえばよいものを。
「ほーら、逃げて行ったね」と友人は笑う、私は「うん」と答えた。
その人には憧れのプロレスラーがいる、まだ普通に話をしていた頃に「ああいう強い男になりたいから」と体を鍛えている話をしてくれた、似たような服やキャップを選び歩き方まで似てくるのはその表れなのだと私は思っているのだけれど、あからさまに顔を隠して逃げた瞬間にそんな強そうなメッキは剥げ落ちてしまう。
ベイツ型擬態ということか。
強い誰かを目指すのは自由だし脇道へ逃げるのも自由だが、薬物疑惑のブーイングから逃げることなく自分はクリーンだと主張を続け試合に挑んだ憧れのプロレスラーのように強そうな見た目だけではなく本当に強くなりたかったら顔を隠してまで逃げないことである。