2016年10月26日水曜日

奇妙な忠告

仕事上がりはどこにも寄り道せずに急いで帰宅、予報とは違って雨が落ちてきたのだ、時には数時間後の天気予報もあてにならないこともある、複雑で気紛れな自然相手なのでしかたがない。

仕事着と洗剤を洗濯機に放り込んでスタートボタン、洗い終わる頃には帰り着いているだろうと晩メシの買い物に出掛けた。

私の住むマンションの1階には各戸の郵便受けのすぐ傍に不要なダイレクトメール等の郵便物を捨てるごみ箱が用意されている、私がエレベーターを降りてその前を通り過ぎ、エントランスから外へ出ようとしたところで3階に住む男性がごみ箱を覗いて「わあ」と声を漏らすのが聞こえた。

「不要な郵便物だけを入れてください」と注意書きのあるごみ箱の中にレジ袋からはみ出た弁当箱とペットボトルなどが押し込んであったのだ、使用済みの箸が袋を突き破って底のあたりから飛び出していた、どうも1人分ではなさそう。

たまにこういうことをする人がいるのですよと3階の男性が言う、昨日ならごみの回収日だったので持ち出し用の袋の中に一緒に入れて回収に出せたのになどと話をしているとエレベーターで降りてきた私と同じ4階の男性が外へ出て行った。

私たちの横を通り過ぎる際にチラリとこちらを見たので挨拶をした。

4階の男性が外へ出ると3階の男性が「あの人とはあまり関わらないほうがいいですよ」と忠告した、なぜだろう、4階の男性とはよく話をするが取り立てて怪しい感じはしない、理由を訊けば深夜に玄関のドアのノブやカギのあたりをガチャガチャと弄る音に驚いて目を覚ましドアを開けると「誰だお前は、何をしている」と肩を掴まれ通路に引っ張り出されたことがあるのだと言う、4階の男性は酔っていて自分の住む部屋を間違えてやって来たらしいのだ。

酔っていて何も覚えていないということで謝罪も無いらしい。

それが事実だとすれば人は酒でそんなに変わってしまうものなのか、普段の様子を知っているので驚きである、いやはやなんとも・・・。

そんな短い話を後にして私は自転車置き場へ、すると、4階の男性が少し奥まったあたりでやっていた原付バイクのメンテを一時中断しこちらに来て私にこう忠告した「あの人はちょっとヤバいよ、あまり親しくしないほうがいい」。

んん、なぜだろう、この男性同様に私は先の3階の男性ともよく挨拶を交わすしやはり怪しい感じはしない。

理由を訊けば盆前の深夜に酔っ払って自分の部屋と間違って4階の男性の部屋に入ろうとしてトラブルになったことがあるという、同じく酔っていて何も覚えていないということで謝罪は無いらしい。

驚いた、3階の男性と4階の男性はほぼ(全く?)同じ事例を明かしたのだった、双方はお互いを名指ししつつ、双方が侵入されそうになった側であり、侵入しようとした側でもあるという話なのだ。

どちらが真でどちらが偽なのかは全く分からない、もしやどちらもが真や偽であることもあり得るのだろうか。

謎だ、はっきりしているのは双方共に相手に対して良い印象を持っていないということ。

全く以って奇妙な忠告だった。