2016年10月20日木曜日

リボンじゃ可愛くなれなくて

筥崎宮の参道を歩いている中年の女性はペットを連れていた、すれ違いざまによく見てみると細いリードで繋がったそれは一見すると犬のようだが猫だった、赤い絵の付いた辛子色の服(?)を背中側から被せるように着せられて、首輪と一緒にピンクのリボンが結ばれていた。

猫そのものは濃いグレーと白が混じるどこにでもいる猫のようだった。

女性は広い参道を寛いだ感じでゆっくりと歩いていたが、猫はリードが嫌なのか、連れられるのが嫌なのか落ち着かない様子で尻尾を下げ、背を低くし、キョロキョロと辺りを窺う感じで忍び足で歩いていた、そして、隙あらば広い参道の端へサッと行こうとする。

だが、リードで繋がっているのでその長さ以上にはどこにも行けない。

振り返って見ていると、私の後ろから来ていた女性が歩速を落としてジッと猫を見下ろし、そしてまた元のように歩き始めて向かって左側の県立図書館側へ去って行った。

猫は相変わらず背を低くし落ち着かない、鳥居の脚の近くでその傍に寄ろうと駈け出したがやはりリードに引き止められてしまっていた。

そんな猫の様子と可愛さを醸し出す赤い絵やピンクのリボンがちぐはぐでなんだか可哀想にさえ思えたのが正直なところである、暑くも寒くもない午後の参道で女性は爽やかそうであったが。

猫はとにかくリードが嫌そうで身を捩って抵抗していた。

犬は散歩に連れて行かねばストレスが溜まって大変らしいが、猫はどうなのだろう、放っておいて自分で好きなようにさせるのが普通だと思っていたのでリード付きの猫の散歩は珍しくて不思議だった。

逆に犬のような散歩は猫にとってストレスになりはしまいか。

ただ、今は室内飼いにする人も多そうで、たまの散歩も車道に飛び出したりで危険そうだ、そういった場合に備えてリードで繋ぐというのは危険回避の有効な手段ではあると思うけれど。

それに、犬のように前後左右に加えて上下への動きも加わるのでどこかへ行ってしまわぬようにリードで制限を設けるといった意味合いもあるのだろう。

私感ながら猫はその辺りで服など着せずに歩いたり寝転がったり毛づくろいしているのが一番可愛いと思っている、リードの是非は別として、リボンでは可愛くなれないのだ。