2015年8月7日金曜日

大勢の独りきり


あの時の訃報の詳細は痛ましいものだった、女優の大原麗子さんが亡くなられてから6年が経った、私がその訃報を知ったのは2009年の8月7日だった。
毎週必ずテレビで見ていた頃があった、舌足らずというわけではない甘くてしなやかな語り口調、明るい役どころでもどこか寂しげな雰囲気の女優さんだった。

私が最初に見たのは「雑居時代」というテレビドラマ。

死後2週間ほど経っての発見というのが人気絶頂の頃を知る者としてはその激しい落差に胸が痛む、これは人ごとではない、私を含めたゲイの多くは「親しい友人はたくさんいるけれど独り住まいだ」という人が圧倒的に多いのだ、家族と一緒に暮らしているという人もいるけれど、親兄弟を失ってしまえば妻や子がいるわけでもなく、やはり独りきりなのである。

私はこのまま歳をとり、子供に囲まれて過ごすわけでなく、境遇を共有できる人たちとメゾン・ド・ヒミコで暮らすわけでもなく、友人はいても支えあって生活を共にするわけでもなく、たぶん独りきりで生きて行くのだと思う。

たとえ今はこんなに元気だとしても、いつかその日は必ずやって来る。

たくさんの繋がりがあるようでも独りきりの人は多いものだ、あの大女優の寂しい末路を思い出して、いろいろと考えてしまう。

天国で大原麗子さんは何をしているだろう、今は残された動画でしか見れないけれど。