仕事帰りに天神の家電量販店で実家用の新しいコーヒーメーカーを買った、予め決めていた機種を指名買いし、それを手に提げたまま徒歩で実家へ。
特に重くはないのだが、やや持ちにくいその箱を通行人や辺りの出っ張りにぶつけぬよう用心しながらヘッドフォンで聴く胸ポケットのオーディオプレーヤーの音量を絞って音楽を聞きながら雑踏の中を歩くことほんの数分、ソラリアビルの中を通り抜けたあたりで信号待ちをしていると・・・ランダム再生で流れてきたのは松任谷由実の「破れた恋の繕し方教えます」。
その同じ場所、まだソラリアなどではなく、しばらくは大相撲九州場所の開催場所でもあった福岡スポーツセンターだった頃、隣にはセンターシネマという洋画専門の名画座があり、20歳の頃に「グリース」の再上映を見に行った帰り、映画館を出てFMチューナー付きのウォークマン(カセット)からFM福岡を選んでみれば・・・新譜紹介ということで流れてきたのが松任谷由実のその曲。
恋が破れてしまったのには理由があり、それを繕い直そうなどとは・・・と、私も別れてしまった年上の男の顔を思い浮かべてみたりで当時はそう思いながら聴いていたのを思い出す、「こんな曲」と思っていたはずなのになぜだか今は自分でオーディオプレーヤーに収めている。
時を経て今や私も五十路となった、同じ場所で同じ曲を聞きながら同じように渡辺通りへ出ようとしていた私はその曲を聞き終ってみるとやはり「破れたのには理由があるのだ」と同じ事を思っているではないか。
街の様子は随分と変わったけれど。
さて、実家に帰り着く頃には右腕がすっかりだるくなってしまった、手に提げたすぐはどうということはないのだけれど、重さではなく形状の持ち難さでやや疲れてしまった。
姉は喜んでコーヒーメーカーを使っている、正直なところ私には以前と味の違いはわからないが。