2018年6月15日金曜日

「箱少年」

私は以前に自分が持っているCDの中でたぶん相手は決して買いもしないし聴きもしないであろうCDを友人と交換して楽しむという試みを実践したことがある、友人は私に森高千里のCDを、そして私からはジュリー・クルーズのCDを交換で聴いたのだった。

友人の評価は最低で、私の評価もまた然り、友人にとってのジュリー・クルーズの歌声とアンジェロ・バダラメンティによる曲は暗いばかりだそうだ、私にとっての森高千里は真っ平らの歌声が退屈で面白くなかった、曲はいいものもあったけれど。

そして今回は本だ、自分が持っている本の中でたぶん相手は決して買いもしないし見もしないであろう本を友人と交換して楽しむという試みだ、CDと同じ友人との交換だった。

私からは朱川湊人の「花まんま」、友人からは「箱少年」だ。

なんだこの箱少年という本は、少年と箱との関わりをモチーフにした絵本のようなものでテキストは極端に短い。

ううむ、なんという本なのだろう、確かにこれは買わないし立ち読みでも開かないだろう、だがちゃんと全てに目を通しはした、どこか不思議な絵と、そこに添えられてテキストのふたつがそろうとしっくりくるのが自分でも不思議ではあった。

こんな自分では買わない物交換会は奇異さを競っている部分もあったりする、悔しいが今回は友人の勝ちである、私が貸した朱川湊人の本のほうがずっと一般的だ、マイナーというかレアさでは友人の箱少年のほうが数段勝る。

それにしても友人はなぜこの本を買ったのだろう、単に絵に惹かれたのか、短いテキストが気に入ったのか、箱少年のどこに興味を持ったのか謎である。

今度この本を返す時に訊いてみようと思う。