2015年3月27日金曜日

九州のは甘い

単身赴任で2年半ほどを福岡で暮らした人が実家の関東へと帰って行った、たぶんもう地方への赴任はなく、これから先はやや距離はあるものの毎日実家から本社へ通う生活が待っている。

家具付きの社員寮暮らしだったので持ち帰るものといえば着るものや身のまわりの小さなものばかり、それらを幾つかのダンボール箱に梱包し、先立って郵パックで実家宛てに送っているので福岡を離れる際の手回り品はごく少ない。

ダンボール箱に入れたものにはここ福岡で買った家族や友人用の土産と自分で使うためのものも入っているという、どちらも同じような品はたぶん関東でも簡単に手に入るとは思うし、ネット通販でも買えるけれど、箱に余裕があるのでそこへ詰め込んでしまうべく買ったとか。

それは「刺身醤油」、通常でも関東あたりの醤油と比べれば濃くて甘みのある九州の醤油、刺身醤油はそれよりも更にトロ味があって濃く甘い、名前の通り主に刺身や寿司に使うもの。

こちらへ来てすぐの歓迎会で出された酒と料理、その時初めて味わったそれは「醤油」というより「タレ」のような印象で正直言ってあまり口に合わなかったとか。

ところが、九州の料理に舌が馴染んだせいか、いつの間にか刺身にはその醤油が美味しいと思うようになっていったらしい、それからと言うもの焼肉に酸味の強い柑橘類を少し絞り、ワサビを溶いたそれにちょんと付けて食べるのが大好きになったとか。

裏ワザ的な使い方も教えてくれた、醤油焼きそばに使うと美味しいらしい、普通の醤油だと塩気と風味はあるものの、たいして色もつかずに見た目が美味しくないのだと言う、その点、刺身醤油だと甘みがコクとなり、見た目に美味しそうな濃い色も出てくれる。

なるほど、そもそも焼きそばはソース味が当たり前だったので醤油焼きそばという発想がなかった、故に刺身醤油で焼きそばには少々驚いた。

おっと、ソース焼きそば同様に天カスを少量入れると特に美味だそうで。

さて、そんな醤油を「奮発して特上のを2本買った」と言って笑う、全体的に甘い九州の味を好きになってくれたうちの1人だった。