2011年6月3日金曜日

潮汐発電という活用法

開門すべきか閉門とするか、賛成と反対の意見が今もぶつかりあう長崎県の諫早湾干拓事業の水門、ニュース等であの全長7kmに及ぶという潮受堤防の映像を見たことがあるという人は多いと思う。

「こんなものに大金使って!」と評判は悪い、周辺住民の間に妙な軋轢が生まれたと迷惑がる人も少なくないとか、「最初から造らなければよかった」というのは正直な心情の吐露だと思う。

こんなはずじゃなかった、こんなふうになるのなら、と、そう思うのは納得できる。

だが既に造ってしまった、なのでどうにかして上手に利用できないか、そこでその潮受堤防を別な発想で潮汐発電に使ってみてはどうだろう、水門を改造し発電ユニットをそこに仕込むのだ、潮の満ち引きで海水が堤防の内と外を行き来する力でタービンを回して発電するという仕組み。

実は特に珍しい発電方法というわけでもない、世界各地で既に稼働している、中でもフランスはブルターニュのランス川には40年以上稼動している世界最大の同様の施設があるらしい。

幸いにも有明海は満潮と干潮の潮位差が大きいので潮汐発電には向いているのではなかろうか・・・きっとそのはず、想定外の利用法なので得られる電力など微々たるものだとは思うけれど、自然の力を利用した今後の発電方法のひとつとしての実証実験くらいにはなると思う。

それに潮汐発電は発電可能な時間帯と発電量が事前に計算ではっきりと分かる、なぜなら前もって潮の満ち干きの時刻がきちんと把握できるからである。

これは想定外の事態に発電量を左右されやすいもの、たとえば晴れずはずだったのに曇ってしまったような太陽光発電や、しっかりとした風が吹くはずだったのによそ風でお昼寝してしまった風力発電、もっと波が高くなるはずだったのに浮き輪にちゃぷちゃぷで楽しかった波力発電といったものにはないメリットだと思う、計画的な発電が可能なので。

せっかく反対派の意見を押し切って金と時間と技術を注ぎ込んで造ったものだから、今以上の何かしらの役に立って欲しいと思う。