2013年10月11日金曜日

猿の遺産

午前中のこと、パートのおばさんがレジの感熱ロール紙が残り少なくなったので新しいものを準備しようと棚の上段に置いていた箱を取り出した際、その上に乗っていた使いかけのカーボンロールがハラリと下に落ちて来たらしい。

「きゃあ!」と驚きの声をあげるパートさん、床には長くほどけたカーボンロール。

「びっくりした、スルッと落ちてきたのでヘビかと・・・」と他のパートさんと笑う。

そもそも人は何故ヘビを怖がるのだろう、絞め殺されかけたり毒ヘビに咬まれて死にかけたという経験がなくとも音も無く地を這う蛇を見つけると怖がるか嫌がるか、いずれにせよ良くは思わない。

怖くはない、嫌いではないと言う人は少数派だと思う。

大人しいヘビはいくらでもいる、人を噛む犬だって中にはいる、それなのに大方の場合だと犬は好かれ、ほとんどの場合ヘビは嫌われる。

あのパートのおばさんも塀の上に猫が座ったままこちらを見ているのに気付けば「あら」とでも言って微笑むかもしれないが、ヘビがとぐろを巻いてこちらを見ていたとなるとやはり「きゃあ!」に行き着くはず。

とりあえずヘビを怖がる理由は猿から進化する際に受け継いだ本能的なものというのはどうだろう。

猿は無条件でヘビを怖がる、異常な怖がりかたをする、枯葉の上をヘビが這っているのを見つけると木の上で鳴き叫んでパニックに陥る、あの恐れようが進化してもなお人に受け継がれているのでは・・・という考え。

・・・などと私がそんなふうに考え始める以前から同じような考えを持っていた人はそこそこいて、逆に無関係だと言う人も同じくらいいて、実際のところはどうなのかはよく解らない。

まあ、どちらか正しくともヘビは嫌われやすいことに変わりは無いのだけれど。

私は平気でヘビに触る、最初に手で掴んだのは保育園の時で、道具箱を収めようと棚に押し込んでも何故か入らないので奥を覗けば粘土(油粘土)が置かれていて、仕方なくその粘土を引っ張り出してみれば実はヘビだった・・・というのが最初。

ツルツルした生き物という感覚だったので怖さは無く、見た目や手の感触で観察していた時に騒ぎ出したのは先生たち、そう、今思い出してみれば猿の群れを彷彿とさせる騒ぎかた。

ほら、やはり猿から譲り受けた遺産なのかもしれない。