2010年11月12日金曜日
映画:「めぐりあう時間たち」
近所のレンタルショップで借りたDVDで観た映画、相変わらずネタバレを避けてのぼやけたレビュー。
あらすじ :
物語に登場するのは時代も住む環境も異なる3人の女性、1923年のリッチモンド(イギリス)に住む女流作家と1951年のロサンゼルスの専業主婦、そして2001年のニューヨークでの雑誌編集者、描かれるのはそれぞれの様子。
彼女らに共通するのは小説「ダロウェイ婦人」、先に書いた作家であるバージニア・ウルフの作品であり、専業主婦の愛読書でもあり、そのタイトル通りのあだ名を付けられているのは編集者だった。
そんな各々の話の始まりは「お花は私が買ってくるわ」という一節、作家が思いついた一節であり、専業主婦が小説の中からふと拾い呼んだ一節、そして編集者が同居するパートナーへ何気なく言った一言なのである。
精神を病み生きる意義を喪失した作家と、日々の空虚さと自己欺瞞に鬱の深みへ沈む主婦、余命短い元恋人との呪縛のような関係と過去に疲弊する作家、彼女らは疲れ、そして思い悩んでいる。
普遍的な日常になり得たかもしれぬ日々を描いていて、結局は孤独と苦悩に翻弄された日々の顛末なのだが、これら3人の話が非常に巧妙に入り組んで描かれている、緻密で精巧な腕時計の内部構造のよう。
映画の物語を暗示するかようなオープニング、それを継いで締めくくるようなエンディング、意図的な構成が巧く成功した映画だと思う、暗くて笑える映画ではない、内容を全く理解できない人もいれば、共感する人もいるはず。
この映画はどちらかと言えば好きではないと言う人のほうが多いかもしれない、が、個人的にはお薦め。
終盤の、作家の自宅を訪れる女性のくだりは疑う余地のないクライマックス、めぐりあう時間たちの瞬間で、その最たるものではないだろうか。
それにしてもオープニングのクレジット中に「ニコール・キッドマン」の名前があるのですが、いくら待っても登場しない・・・と思っていたら、とうに何度も登場していました、精神を病んだリッチモンドの女流作家・バージニア・ウルフ役として出演しています。
まるで別人、特殊メイクの賜物ですが、これがニコール・キッドマンだと言われてもなお疑う人は多いかも。
この映画については「映画 めぐりあう時間たち」で検索するとヒットする、ご興味我あればどうぞ。>皆様