2009年9月12日土曜日

映画:「譜めくりの女」

この映画を見るまでは「譜めくり」というものがどれほど重要なのかを全く知らずにいました、演奏者が目で追う楽譜を息を合わせてめくるという作業を担う人のことである。


あらすじ:

満を持してコンセルヴァトワールの入学試験に挑んだ娘、それまでの練習の成果を見せるべくピアノに向かうのですが、審査員のうちの1人の著名女性ピアニストの等閑な態度に心を乱し演奏を一旦中断。

結局、気持ちが途絶えてしまい成果を残せず試験に落ちてしまう、涙して母親と家に戻った娘はピアニストの夢を捨ててしまうのだった。

時を経て娘は大人になり弁護士の事務所で実習生として働き始める、ある日、そこの弁護士が息子のお守り役を探していることを知り自ら申し出て引き受けるのだった。

後日、息子を連れた弁護士の妻との待ち合わせの地下鉄の駅で実習生はハッとする、その妻とはあの時の著名女性ピアニストだったのである。






傷つけられたプライドと捨てた夢の喪失感が長年の時を経てもなお背を押す女の復讐劇、実習生と妻との危うい別の感情も織り交ぜながら口数少なく淡々と物語は展開する。

そこで気は済んだだろう・・・と思えるあたりを越えて、最後の一撃は真に強烈、回復不可能なまでに諸々を破壊し、妻=著名ピアニストを絶望させるのでした。

涙する娘の能面のような顔、一言も口にしないままのその有様には怖さを感じる。

フランス映画は好きですか? 心理的に怖い映画は好きですか? もしお好きでしたらこの映画、お薦めです。