2010年7月23日金曜日

映画:「ダイアナの選択」

ダイアナの選択」という映画、WOWOWからの予約録画で劇場公開の際にはどんな評価だったのかという以前に、この作品の存在自体知らぬものだった。


あらすじ:

アメリカの田舎町の高校、主人公はそこへ通う17歳の女子高生、町に馴染めず親子関係もしっくりしない蓮っ葉な娘、しかし孤独ではなく保守的で真面目な同級生の親友がいる。

ある日のこと、トイレで授業前のひと時を他愛もないお喋りで過ごすその2人は何事なのだと表の騒々しさに気付く、なんと同校の男子生徒が銃を乱射し誰彼見境い無く銃撃しているのだった。

男子生徒は女子トイレにもやって来て怯える2人に訊く「どちらかを殺す、死ぬのはどちらだ?」・・・と。

時を経て主人公も三十路、優しい夫の妻であり可愛い一女の母親でもあり、平穏な日々に人生の幸福を疑うことなく毎日を送っていた。


だが、その朝は忌まわしき事件から数えて15年目、娘を学校に送る途中で粛々と準備が進む我が母校での追悼式典の様子を横目で見つつ、そして若かりし事件当時に思いを馳せるのだった。


この映画は家庭を持ったその後の主人公と、まだ女子高生だった当時の主人公を切り替えながらという作風、派手なフラッシュバックではなく、ごく自然に、まさにシーンが切り替わるが如く。

見ていて違和感は無く、あちこちに散りばめられている物語の本質や筋に触れる伏線を上手に見せてくれる・・・が、最初のうちはどれにも気付かないかもしれない。

不可思議な展開を怪しみながら見ていた森の中で我が娘を探すシーン、結末が見えて愕然としてしまった、そんな結末にはならないで欲しいと思いつつもまさにその通りであったことが寂しくも悲しい、何か幸せや救いを見出すとすれば何があるのだろう。

それはこの映画を見た人それぞれによって解釈は違うはず。

映画のタイトル「ダイアナの選択」は邦題として上手に付けたと思う、英語の原題を直訳でもすればネタバレに等しい。

オープニングの静かで濃密な色彩の花々や、美術教師となってゴーギャンについて説くシーン、そしてまたもや静かなエンディングクレジットが何故だか印象的な映画、銃の乱射事件は発端に過ぎず、物語の核ではないはず。

万人受けする映画ではないと思う、中盤を中弛みと感じる人も多そう、多くの伏線など面倒だと思う人には退屈な映画になるやもしれず、個人的には良い映画だった。

ちなみに、主人公(女子高生)の親友役を演じるのはエヴァ・アムリ、その母親はスーザン・サランドン、目元がそっくりなのも頷ける。