すっかり日本のテレビドラマを見なくなって久しい昨今、それでも新しい番組のタイトルとおおまかな内容くらいは調べている、そこでふと思うのは今時のテレビドラマの放映期間の短かさ、「1シーズン全12話」といった具合に3ヶ月で終わるくらいの放映回数しかないのだ。
いや、12話といわずもっと短いものもある、これは一体いつ頃からのことだろう。
ホームドラマや刑事ドラマなど誰もが毎週楽しみにテレビドラマを見ていた頃は1シーズンが半年だったりそのまま1年だったりという具合で、中には1年といわず永遠に続くのではないかと思う人気ドラマもあったのだが。
10年超えの刑事ドラマや、ほぼ1年を1シーズンとした別シチュエーションによる数シーズンを展開したホームドラマなど、放映回数は200回近くから700回を超えるまで様々。
ドラマの登場人物の紹介と背景描写から始まり、物語そのものの起承転結を全12話に収めるというのはいささか無理があるのではないか、細かい部分を端折って作るとしても、それでは雑味を消しすぎたが故に大味となりあまりにも味気なくはないだろうか。
テレビ局側にも事情があるのはよくわかる、予算であったり、役者の拘束期間やスポンサーの意向とういうのもあるだろう、そういった点も昔とはいろいろと変化しているだろうとは思う。
まあ、視聴者が昔ほどテレビを見ないというのが一番大きいのかもしれないが。
相当昔の、なんというテレビドラマだったろうか、コメディ色のないホームドラマの1シーンで、ちょっとした言い合いの後の気まずい仲の夫婦の傍で軽く湯気を昇らせるストーブとその上のやかんだけを遠巻きに10秒ほど映すだけの場面があったのだが、やかんの中で沸き立つ湯の音が微かに聞こえるだけで同じ室内にいるはずの2人の会話や気配は全く無いという映像で、冷めきった夫婦仲を感じさせるものだったのだが、今時ならばそんな面倒な手法やストーブとやかんの映像だけの時間などは無駄だと思われてカットされるに違いない。
んん、やはり全12話では展開が都合もテンポも良すぎて無理があると思う。
毎週決まった曜日の放映時間を楽しみにできるようなテレビドラマはもう戻って来ないのだろうか、多くの人が見ていて、その話題を共有できる人がたくさんいた楽しみが今となっては懐かしい。
そんな中でも長く続いているものといえばテレビ朝日の「科捜研の女」くらいか、いや、もっと他にもあるかもしれぬが。
今のドラマにホームドラマはあるのだろうか、たぶんあまり視聴者受けしないのだろうと思うので無いか、あってもパッとしないのではと思う。
昭和の頃は当たり前のようにテレビで放映されていた息の長いホームドラマ、当時はただ面白く見ていただけだったが、今となっては当時を振り返って懐かしく羨ましくも思うのである。