不思議な出来事を目の当たりにした、偶然と言えば偶然なのだが。
昨日のお好み焼き友の会が台風の影響で延期になったせいもあって参加メンバーのうちの友人1人と中央区内の洒落た洋風の定食屋で早めの晩メシにした、その時、向かいの席に座る友人がふいに「昔はこういう店に○○君と一緒によく来たんだよね」とポツリと言ったのだ。
「○○君」とはその友人の元恋人である、別れたとはいえ疎遠になるわけでもなくたまにメッセージなどでやりとりをしていたりはする、なので今でも恋人同士ではなく友人としてまた一緒にメシでも食いに行けばいいではないかと言うと○○君には既に新しい恋人がいるので誘いにくいという。
その新しい恋人が変に勘ぐってトラブルになりそうなのが嫌なのだと。
そこで話が別に移って食いながらの会話が続いたが、食べ終わってふと「ん？ ○○君」と視線を窓辺に向けたまま言うので窓の外を本人が歩いているのかと思えばそうではなく、ただ頭の中に顔が浮かんだらしく、何を思ったのかスマホを取り出して○○君を探してタップ、電話帳からの電話なのか、メッセージアプリからの無料通話かはわからないがとにかく通話を選んだのだ。
ところが、○○君は話し中だったので友人はスマホをタップして呼び出しを切ったのだ、するとその直後に電話が鳴り出したのだ、表示された名前は○○君で受けてみると「どうした？」と訊かれて「どうもしてないけど、どうしたの？」と答える友人。
お互い「どうしたの？」のピンポン状態だ。
先ほどの話し中はなんと○○君がふと友人のことを思い出して電話をかけた時だというではないか、お互いがお互いのことをふと頭に思い浮かべ、気になって同時に電話をかけあうなど凄い偶然だと思う。
いや、長年付き合っていた元恋人同士の不思議なテレパシーなのではないかと思ってみたりもする。
結局、お互い特に変わりはないので短い会話だけで終わったが私の目には大変興味深く映った。
定食屋から出て地下鉄の駅まで歩く間に○○君のことが今でも好きなのではないかと訊けば素直にそうだと認めた。
なるほど、果たしてこの世に存在するのかどうかさえ不明なテレパシーか、もっと別のものなのかはわ分からぬが、この友人から○○君へは脳内のどこかで何かしらの特別な力のようなものが働いているのかもしれないなと思った出来事だった。
漠然と不思議な力としか言いようがないのだけれど。
