休日ではあったが午後に晩メシの材料を買いに行く以外は特にどこへ出掛ける用もなく、洗濯と部屋の掃除に自転車の手入れが済めば録画していたドキュメンタリー番組を見て過ごした。
それともうひとつ、フリマアプリに出品していたPCアクセサリが売れたので郵便局で発送手続きをした、ゆうパック扱いで最も小さなクラスの60cmサイズを1箱である、ヨドバシ.comを利用した際の箱から我が家への宛て名シールを剥がしてリサイクル、外側を真っ白な紙で包んで透明のビニールテープでがんじがらめにした、箱はリサイクルであることを出品時に明かしてあるので購入者は承知している、なので美観の点ではいまひとつだが全く問題ない。
小さくて軽いそんな箱を手に郵便局へ向かう途中で下校した小学生らとすれ違った、そしてまた前からは別の子たちがこちらへ歩いて来る、まずは女の子と、その後ろに数人でふざけながらの男の子たちだ。
その数人の1人が走り出した、残りの子たちも後を追って走り出した、そして先頭を行く男の子が前にいた女の子を追い越す時に「給食費、どけ!」と言ったのだった、女の子は少し驚いたようにチラリと男の子を見て道の脇へ寄った、この時点で私と女の子は何歩ずつで横に並ぶであろう距離だった。
走り去った男の子を追う残りの子たちが女の子の脇を抜ける際にどの子かが「おい! 明日は溜まった給食費払え!」と吐き捨てた、それもたいそうな大声で。
ああ、それは何についてどう言っているのかを誰もが一瞬で理解できる一言なのだと思う、女の子の親は給食費を滞納しているのであろう、そしてそのことを同級生と思しき子たちはどういうわけか知っているのだ、女の子はその一言に反応することもなく、男の子らの走り去る後ろ姿を見ることもなく、ただ目線を斜め下に向けたまま歩いていた。
給食費の滞納は由々しき問題であり支払うのは親の務めである、支払いが滞っていれば請求するのが当然であり親は応じなければならない、ところがそれでも払わぬ親はいる、それは払わないというよりは払えない事情があってのことかもしれぬが。
それはさておき、学校と親の板挟みになるのが子供である、最初のうちは保護者に渡しなさいと手紙を託されていたかもしれぬが、滞納が続くと何らかの法的措置をとられてしまうだろう、女の子の場合はどういう段階なのかは分からぬがとにかく同級生らは知っている。
確か給食費が払えぬ場合は学校や教育委員会への相談で援助制度を受けることができると聞いているが親はちゃんと動いたのだろうか。
私が小学生の頃の給食費と言えば月に2000円台半ばだった記憶がある、毎月専用の封筒に入れて期日までに担任へ手渡すという支払い方法だったのだ、今はどういう形での支払いになっているのだろう。
仮に女の子の親が滞納金を一括で払ってしまえば給食費そのものの問題は解決する、だが女の子はことあるごとに同級生らから「給食費」と呼ばれ続けるのではないか、子供はお構いなしに物を言うだろう、全く以て女の子が不憫である、自分ではどうにもできぬ問題で肩身の狭い思いをしているのだ。